歌うことの機能
人間はいつから歌っているのか。歌は化石にはならないが、人類の化石を現代まで遡ってみると、いつ歌が生まれたのかを考えることは可能である。
というのも、頭蓋骨の形状を見れば、過去に人類が発声していた音声を推測することが可能だからだ。
それによると、約150万年前の初期人類の化石は現代人と似たような頭蓋骨、舌骨の形状をしており、この頃にはすでに歌うことができていたと考えられている。
人はなぜ歌うのか
①求愛
動物は歌を求愛やナワバリを獲得するために使うことがある。現代の人間においても、男性から女性へのアピールといった機能があるようだ。
というのも、男性のほうが女性より10倍もの音楽を作っていること、そしてその作者の年齢に注目すると、20代や30代の男性が多いことなどから、歌や音楽が女性へのアピールとしての機能をもつと考えられる。
②リラックス効果
歌を歌ったり聴いたりしたときの脳は、エンドルフィンやドーパミンなどの神経伝達物質が放出され、幸福感を感じたりリラックス効果を得る。
特に、歌を歌うことは聞くことよりもエンドルフィンを活性化させ、ポジティブな気分にしてくれる。こうした機能は、認知症やうつ病などの改善として注目されている。
③士気を高める
実は歌には、戦いに立ち向かう際に自分自身を鼓舞する機能があると考えられている。
というのも、さまざまな民族に戦いの歌が存在することや、近代の戦争時において、兵士が歌うことで士気を高めたとする記録が残されているからだ。これは先程の記述の通り、歌を歌うことによりエンドルフィンが分泌されることなどが、この仮説を裏付けている。